さかいゆきです。
今回は『足首のねんざ直後からスポーツ復帰の流れ』というリハビリのお話です。
私がスポーツ整形外科に勤めていた時にスポーツの怪我で一番多く見られたのが【足首のねんざ】です。足首のねんざはスポーツに限らず、通勤中に転んだり自宅でつまずいて受傷したりと幅広い年代に起こる外傷です。
足首のねんざ直後に整形外科を受診しリハビリ卒業までの流れについてまとめましたので、事前学習としてぜひお読みください。
足首ねんざの直後は足を着いて歩けない、体重を乗せられないくらいの痛みを感じます。(軽傷の場合や痛みに強い方は歩けたりもします、個人差あり)
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整形外科を受診するまでに自宅やスポーツ現場でできる処置としては【RICE(ライス)処置】という応急処置方法があります。RICE処置とは安静にする(Rest)冷たいもので足を冷やす(Icing)、足首の内出血を最小限に留めるために圧迫する(Compression)、寝た状態でねんざした足を心臓より高い位置に挙上する(Elevation)という4つの処置で悪化防止を防ぐものです。出来るものだけでも良いのでこれらの処置をします。
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整形外科を受診すると医師の診察を受けレントゲン撮影で骨折が無いかの確認と足の安静をとるための固定(シーネやギプス、包帯など)などの処置を受けます。痛み止めを処方されたりもします。足の安静を図るために松葉杖を使うこともあり、松葉杖の使い方の指導を受けたりもします。受診した整形外科に理学療法士というリハビリ専門のスタッフがいる場合には理学療法のリハビリを受けたり、電気治療などの物理療法を受けることもあります。最初の受診日からだいたい1週間後に経過チェックの受診を促されます。
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整形外科受診後からの生活での大切なことは、第一に、何もしていなくても痛みを感じる【安静時痛】が無くなること。痛み止めの服用もありだいたい2〜3日位で安静時痛が引く方が多いです。痛みがずっと引かないことは好ましいことではないので可能な限り活動を控え安静にすることが望ましいです。
理学療法士による管理下でリハビリを受けるのが理想的ですが、そうでない方もいると思いますので足の回復の流れをお伝えします。
安静時痛が無くなったら固定をしたままでもできる足指を動かしたり、足の裏を床に着いてみたりして足の感覚を維持できる様にします。足を撫でたりさすったり触ることも大切です。足を着けないことで起きる感覚低下を最小限にすることは可能です。また歩いたり走ったりスポーツをしている自分の動きを頭の中でイメージするのも効果的です。スポーツをしている方は幹部外トレーニングと言って怪我をしていない部位のトレーニングは可能なため、体幹トレーニングや筋力トレーニングやバランストレーニングなどやれることはいち早く取り組みましょう。
足首のねんざを始め、筋肉などの怪我でも、怪我した体の最初の組織修復には最低でもまず約3週間はかかります。軽傷で3週間以内に痛みが引いたとしても体の組織は修復中なので無理してはいけません。(ねんざは軽視されがちですが、靭帯損傷という立派な怪我です)
足首のねんざでは足首を動かすと痛みが出やすいですが、足首の動きがあまり無ければ体重を少しずつ乗せることは可能になってきます。松葉杖を使いながら少しずつ体重を乗せることを調整していきます。
医師の判断で松葉杖を卒業できたら日常歩行は可能な状態です。歩き始めは足の筋力も左右差があったり疲れやすくもなるので焦らずにまず通勤・通学などの歩きでリハビリです。また、下半身のトレーニングとしてスクワットやランジなどの体重をかけたメニューを行い基礎筋力を獲得します。
・歩行時痛がない
・片足立ちがぐらつかず静止できる(左右左無し)
・階段上り下りで痛みがない
・痛みが出ていない、コントロールできている
という状態になってきたら少しずつジョギングに進みます。ジョギングは1分から少しずつ時間を段階的に増やします。疲れが出たり痛みが出る時間をチェックしながら調整します。
ジョギングが安定してきたら運動の負荷を上げていきます。
・スキップ、サイドステップ、バックステップができる
・その場両足ジャンプで痛みがない
・その場片足ジャンプで痛みがない
・両足ジャンプ前後移動、左右移動で痛みがない
・片足ジャンプ前後移動、左右移動で痛みがない
・直進ダッシュを70%位の力で走れる
・カーブのダッシュを70%位の力で走れる
ここまでできるようになったら本格的にスポーツ復帰のための運動レベルに移行します。
◆ウォーミングアップに参加する
(まずは準備体操のみから、メニューにレベルに身体が追いついたら他のメニューも適宜参加。サッカーなら一人のドリブルから。1対1のパス練などはできるけどミニゲームはまだ、というように段階的に)
◆攻守練をする
個人スポーツは自分のペースで進められる練習メニューも団体スポーツでは相手の動きに合わせなくてはいけないため少し難しいことがあります。攻守練もポイントです。
(サッカーやバスケットボール、などではスポーツ復帰前の攻守練は必ずオフェンス=攻撃から始めるのが鉄則です。ディフェンス(守備)は動きに慣れたら行うようにします。テニスなどのネット競技も自分の動きを整えてから対人メニューを行います。)
◆すべての練習メニューに参加する
ここまで痛みなく70%位のパフォーマンスができれば順調です。足首のねんざではサポーターやテーピングをして再発予防もできます。痛みが出たらそれはまだ復帰レベルに達していないサインです。日によっても調子が変わることがあります。焦らず医師や理学療法士、アスレティックトレーナーと相談しながらリハビリを進めていきましょう。安定してきたら運動強度や、パフォーマンスを80%、90%…と上げていきます。